2015年6月22日
「夏至」とは北半球では1年でもっとも日が長く、夜が短いころのことです。
今は梅雨の真っ只中ですが、これから夏本番へと暑さが日に日に増していきます。農家ではひとつ前の節気、芒種の頃から始まった田植えもそろそろ終盤でしょうか。6月の田植え時期には全国各地で田の神さまに豊作を祈る祭がおこなわれます。
6月10日に京都にある伏見稲荷大社のお田植祭に行ってまいりました。本殿での神事の後、神田に場所を移し巫女さんによる御田舞の中、早乙女たちがお田植えをすすめていきます。
このような五穀豊穣への祈りの中、丹精こめて育てられたお米を食べさせてもらっていると思うと、とても感慨深く感謝の念を新たにいたしました。10月には取り入れの神事・抜穂際があります。たわわに実った稲たちにまた会いに行きたいです。
今日取り上げる文字は、祈りのこもった「舞」と、夏には水分補給が欠かせませんので「飲」。
何を飲むかは人それぞれでしょうが・・・
「舞」 甲骨文字
音 「無」と「舛(せん)」を組み合わせた形です。
「無」は舞う人の形で、衣の袖に飾りを付け袖をひるがえして舞っている様子です。
後に「無」が、「ない」の意味に用いられるようになったので、舞うときの足の形である「舛」(左右の足が外に向かって開いている形)を加えて「舞」とし、「まう、まい、おどる」の意味になりました。
「飲」 甲骨文字
元の字は「酓(いん)」と「欠(けん)」とを組み合わせた形です。
「酓」の文字の下部の「酉」は酒樽を表しています。そして、上部の「今」の文字は蓋(ふた)を表します。
「欠」は人が口を開いて飲んでいる形です。酒樽の中のものを飲んでいる姿が「飲」となり、「のむ」の意味となります。
作品は、酒蔵での個展に出品したものです。
(初出展は2007年)
縄文人がヤマブドウの実を土器の中に入れておいたら、発酵して液体に変化していた。飲んでみるとそれはとても良い気分になる奇しきものだった・・・という酒の発生説を参考にしてストーリーを描き、創った作品です。
初めて「クスシキ液体=酒」を口にした縄文人の驚き、畏れはいかばかりだったか・・・縄文人と酒との出会いに思いをはせて想像が止みませんでした。おそるおそる壺の中を覗き込んで、まさに飲もうとしている姿そのままの文字です。私たちが想像している以上に豊かで発達していた縄文人の暮らしに、またひとつ楽しみが加わったことでしょう。
舌なめずりしているお父さん、今日は獲物が捕れましたか・・・『たんと召し上がれ ヤマブドウの果肉入り 縄文酒を 紀元前三千年 ムラビトケイカ』
夏至といえば(冬至の日もそうですが)キャンドルナイト、一年に2日間だけ、それも夜8時から10時までの2時間だけ「電気を消してスローな夜を楽しむ」という趣旨のイベントです。(カナダが発祥のようです)
我が家でひっそりと電気を消して和ろうそくで楽しむのも良いですね。色々なキャンドルが市販されていますが、和ろうそくの炎のゆらめきには格別癒されます。このゆらめきが風にそよぐ新緑や、よせる波のリズムと同じで、心を癒すリズムなのだそうです。
次回は7月7日「小暑」の頃に・・・