古代文字って?▼ 第11回 小暑

2015年7月7日

 「小暑」とは、梅雨が明けて本格的に夏になるころのことです。

 沖縄以外はまだまだ梅雨の真っ只中ですが、これから徐々に梅雨明けすると熱中症にご注意!の猛暑がやってきます。

 今日は七夕祭です。天の川の両岸にある牽牛星と織女星が年に一度相会う日。雨で川を渡れないときは、鵲(かささぎ)が羽を広げて橋を架けてくれるそうです。ロマンチックなお話ですね。
 また、今日降る雨のことを洗車雨(せんしゃう)、催涙雨(さいるいう)というようです。洗車雨は牽牛が織女との逢瀬のために乗る牛車を洗う水が降ってくる雨、また催涙雨は牽牛と織女が逢瀬の後に流す惜別の涙とも、逢瀬が叶わなかった悲しみの雨ともいわれています。

 今日取り上げる文字は、「星」と「祭」です。

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「星」 金 文

 音を表す音符は「生(せい)」、現代の文字は「日」と「生」ですが、古い字形では「晶」と「生」を組合わせたものもあります。
 この場合の「日」は太陽の形ではなく星の形を表現しています。「晶」はその星が沢山あり、多くの光を放っていることを意味しています。音符の「生」は清らか、すみきっているという意味で、澄んだ光の星の意味を表します。

 この作品は、2004年の個展「Appassionata」で情熱的な4人の女性の愛憎をテーマに創作した一点です。
 その4人の女性とは、ヨハネの首を所望したサロメ、安珍を道成寺の鐘もろともに焼き殺した清姫、曽根崎の森で徳兵衛と情死した遊女お初、そして静かに想い続ける織女です。

 二つの星の文字で、その織女と牽牛をイメージし、『星と星』、その後に二人の想いと、また一年に一度くらいは会わせてあげたいという私の気持ちを込めて『あえますように』。

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「祭」 甲骨文字

 

 「月」と「又(ゆう)」と「示」を組合わせた形です。「月」は肉の形、「又」は手の形、「示」は祭壇の形を現しています。祭壇に手で牲犠(いけにえ)の肉を供えて祭ることを「祭」といい、「まつる、まつり」の意味となります。

 作品は2011年の個展「ムラマツリ」で出展した一点です。テーマそのものの『祭』 の文字、神様が喜ばれるよう?大きくて厚めの肉にしてみました。

 余談になりますが、近年中国では簡略化した漢字が使われています。中国の空港などで見かける「国际」、元の字は「国際」です。「際」は神が天に上り下りするときに使う神の梯の形である「阝」と、今日取り上げた「祭」を組合わせた形です。漢字の成り立ちを考えると、簡略化されたことでお供え物を置く台だけがあって、お供えの肉がありませんし、お供えする手もありません。これでは神様も困っていらっしゃるのではないでしょうか。


 これから暑い夏が訪れます。元気で過ごしましょう。
次回は7月23日「大暑」の頃に・・・