2015年8月8日
「立秋」とは、初めて秋の気配が立ち始めるころのことです。
とはいっても、秋とは名ばかりで、暑さはピーク、猛暑が続いていて溶けてしまいそう。
先日、新聞であまりの猛暑、いっとき人間をやめて変身したい生き物ならクラゲだろうか・・・というおもしろい記事を読みました。
クラゲは漢字では、「海月」または「水母」と書いて、たしかに涼しげです。賛成!!と思いました。しかし、海水温度の上昇のためでしょうか、茨城県の海岸に日本近海に居るはずのないサメが出現したというニュースがとびこんできて、恐怖!クラゲになるのはやめます。
生き物ではありませんが、やはり変身するなら花氷の中の花がいいかなあ・・・、ちょっと寒すぎるかもしれませんが・・・
(花氷:中に花を入れて凍らせた氷、冷房と装飾を兼ねる氷の柱、俳句では夏の季語)
これからは、雲の形、風の向きが少しずつ変化し、日暮の時刻も早まり、日に日に秋の気配を感じられるようになります。
それでは今回は、文字通りの「秋」、そして「暮」です。
「秋」 甲骨文字
元の字は、「龝(しゅう)」の文字の右部「龜」の下に「灬(よつてん)」を加えた文字です。
(現在の文字にはありませんので、下段に手書きしました)
禾は穀物、龜の部分は、いなごなどの虫の形です。この3つの文字を合わせて、虫を火で焼いている形を表しています。秋になると、いなごなどが大発生して穀物を食べ被害を受けるので、害虫を火で焼き殺し、豊作を祈る儀礼をしたのでしょうか。
後になって、虫を表す龜を省略して火だけを残して「秋」となったようです。
甲骨文字には、四季の名の春・夏・秋・冬を示す資料はありません。豊作を祈るこのような儀礼が、秋に行われるので季節の「あき」の文字に使われるようになったのでしょう。
真「しゅう」
「禾(か)」と「龜(亀・き)」と火を意味する「灬」を組み合わせた文字になります。
作品は、2011年の個展「ムラマツリ」の時のものです。
縄文のムラビトたちが、豊作に感謝し神へ酒や供物を捧げ、喜び歌い踊るマツリの場面を古代文字で表現した展覧会でした。
漢字の成り立ちそのまま、虫が焼かれている形を表現し、藁(わら)をイメージした額に収めました。
「暮」 甲骨文字
元の字は「莫(ぼ)」で、艸(草)と艸の間に日(太陽)が沈んでいる形を表しています。「くれる、ひぐれ、くれ、くらい、おそい」の意味となります。
「莫」が「なし」などの打消しの意味に使われるようになったので、「日」を加えて「暮」となりました。
作品は、同じく2011年の個展「ムラマツリ」の際のものです。
縄文人の男性が数人、狩猟を終えて家路を急ぐ途中、きっと目にしたであろう大地に沈み行く真っ赤な夕日です。
今日の獲物は大物?・・・いや、たとえ不猟であったとしても、皆が傷ひとつ負うこともなく、こうしてつつがなく帰路につくことが出来た。ムラに着けば、帰りを待っていた家族の笑顔がある・・・、無事であることに感謝!明日も元気で励もう・・・
真っ赤な太陽を見て、男たちは思ったはずです。
『ふつうに暮れる一日にありがとう』
残暑お見舞い申し上げます。
そう、今日からご挨拶は「残暑お見舞い」に変わります。
元気で猛暑を乗り切りましょう。
次回は8月23日「処暑」の頃に・・・