2015年3月6日
「啓蟄」とは、冬ごもりの虫や蛇、蜥蜴(トカゲ)、蛙などが冬眠から覚めて、土の中から這い出してくる時節をいいます。
ひと雨ごとに暖かくなり、待ちわびていた春も、もうそこまで来ています。コートを脱いで出かけられる日も近いようですね。虫たちを真似て、戸外へ出かけてみましょう。
「蛇」 甲骨文字
ご覧の通り、一対の蛇の姿です。
二匹の蛇の向きが違っていますが、文字が統一されていない時代の文字ですので、よくあることです。
甲骨文字は、ひとつではありません。(おそらく、ムラごとに?いろいろな書き方をしていたのではないでしょうか)
この「蛇」のように、向きが反対になったり、左右(現在でいう、へんとつくり)が入れ替わっていたりするものは少なくありません。つまり、甲骨文字は、ひとつの文字に複数の形があります。
この作品は、以前に縄文復元画家の友人とのコラボレーション「縄文主義・内なるもの外なるもの」の際に創作したものです。
不猟、病、出産のとき、常に死と隣り合わせだった縄文人は、死への恐怖を抱いていたはずです。だからこそ、生命が何よりも尊く、お互いの命の安泰を願っていたのだと思います。
現代と違って、ムラで日常頻繁に見かけていたであろう蛇の交尾、脱皮、冬眠、再生する姿に、生命力の旺盛さを見て、神格化するまでに崇めていたことでしょう。
この作品ではムラビトの気持ちを投影して、一対の蛇に 『生命の再生力をお与えください』 と祈りをこめました。
「遊」 甲骨文字
もとの字は「斿」
「斿」は、吹き流しをつけた旗竿の形と「子」を組み合わせた形で、旗竿を持つ人の形です。
「斿」は、氏族霊の宿る旗をおし建てて出行することをいい、「遊」や「游」のもとの字です。
「遊」は、「斿」という文字に 『行く』という意味のある「辵(ちゃく)」(しんにょう)がつけ加えられたものです。その他に、およぐ意味の「游」も作られました。
共に、「あそぶ」の意味です。あそぶというのは、神霊があそぶことで、神が自由に行動するという意味でしたが、後に人がおもむくまま行動して楽しむという意味に用いられるようになったとのことです。
漢字の成り立ちでは多くが、神様が主役です。
「楽」「喜」も神様が楽しまれる、喜ばれる・・・
「笑」も、神様を楽しませる動作をいうようです。
「遊」のこの造形が、ツアーガイドさんが引率しているようにも見えてしまうのは、春の陽気に誘われて、どこか旅に出かけたくなっている私だけでしょうか?
たくさん、たくさんあそびましょうね。
さて次回は、いよいよ3月21日「春分」 心浮き立つ春が来ます。
じきに、桜のたよりも聞かれる頃でしょうか・・・
では、またその頃に。